2007年1月27日

新聞は読者が見えているのか
JCJ北海道支部1月例会
難波さんゲストに参加者と自由討論

 JCJ北海道支部は、一月例会「報道に今、欠けているものは〜やっつけ仕事≠ノ流されていませんか〜」を一月二十七日、札幌市北区の北海道クリスチャンセンターで開いた。ゲストに招いた北大科学技術コミュニケーター養成ユニット特任助教授の難波美帆さんが、記者の思い込みや勘違いが散見される記事や一面的に流れがちな報道を例に「伝える側は読者というものが見えていないのではないか」と問題点を指摘、メディアの姿勢のあり方について参加者と自由討論を繰り広げた。

 会場には、会員のほか大学院生や市民団体関係者ら二十八人が出席、いすが足りず立ち見の参加者が出るほどの盛況ぶりとなった。難波さんはまず、アフリカ・ダルフールの飢えた子供の写真に「無関心が真実を見えなくしている」とのコピーを掲げた朝日新聞の「ジャーナリスト宣言」広告を引き合いに出し、「ダルフール問題の本質を積極的に取り上げているわけでもない新聞社が、自社で撮ったわけでもない写真を使った広告を出すことで、かえって『真実を見えなくしている』のではないか」と疑問を投げ掛けた。

 また、保育所に入れない待機児童の問題を「働く女性と専業主婦の意見対立」として描いた北海道新聞の連載記事について「前提を間違えたまま筆を進めている。記事を必要としている読者のことを考えていない」、うつ病と睡眠時間の関係を取り上げた発表ものを紹介した全国紙三紙の記事に対しては「科学記事には、因果関係を取り違えたものが多い」とそれぞれ苦言を呈した。

 また、難波さんは昨年、北海道新聞の「私の新聞評」で「紋切り型のコメントは不要」と書いたことについて「無責任な発言をそのまま取り上げても、事象を判断するよすがにもならない。場合によっては判断を誤らせることにもあるのではないか」と指摘。安倍首相誕生前夜の報道を「安倍氏になびくマスコミ」と批判したことについては「決まってもいないことを既成事実のごとく報道する姿勢に節度のなさを感じた」と切り捨てた。

 一方、出席者からは「新聞社のいう『中立公正』などという概念はありえないのではないか」「市民運動の大きな集会もほとんど取り上げてくれないなど、新聞社のニュースの取捨選択が『御用新聞』化している」との疑問や批判の声が上がった。これに対して、会員をはじめメディアで働く出席者が「客観的な事実に主観をどう込めるのかということが、伝えることにとって大事なこと」「政治取材では、政治家が勝ち続けるために記者を利用しようという部分があるのは事実だ」などと現場の実情を紹介、意見を交わした。

(事務局長 安藤 健)

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