2007年8月18日

平和構築のためには「現場主義」を
JCJ北海道8月集会、小林教授が講演

「九条的世界」実現の重要性を強調

 JCJ北海道支部は、北海道東海大国際文化学部の小林公司教授を講師に招き、八月集会「九条が国際平和構築に果たす役割」を八月十八日、札幌市北区の北海道クリスチャンセンターで開いた。小林教授は「憲法九条は国家の暴力性だけでなく、それと連動した人間内部の暴力性をも否定しているという考えが真髄にある」と指摘。「『九条的世界』こそが安倍政権が考えている『美しい国』に対する対抗軸となる」と語った。また、「九条的世界」を実現するためには、自己内部にある暴力性を無化することが欠かせないとして、「自分自身の軸で物事を考えるために積極的に現場に出掛け、そのリアリティの中で足場を築け」と「現場主義」の重要性を強調した。



 会員を含め十五人が出席。小林教授はまず、日本政府が「平和のコスト」と称して費やしている軍事費が常に世界トップ5にあり、さらに在日駐留米軍の維持にかかる経費のうち実に75%を日本政府が拠出しているという現状に疑問を呈した。一方で、平和構築のための負担は、年間四百億円の国連分担金を例に挙げても「駐留米軍維持経費の十三分の一にすぎない」と指摘し、「軍事的分野のみで『平和のコスト』を考えるということは了見が狭すぎるし、想像力が欠けている」と厳しく批判した。

 さらに、ナチスを支援したという過去を反省して、市民が積極的にパレスチナで支援活動に取り組み、「平和構築に向けて体を張り、外交政策を変える原動力にもなっている」というノルウェーの例や、「反ナチスの闘士として自己の暴力性と六十年間にわたって向き合った末に」少年時代に自身がナチスの親衛隊員であったことを告白したドイツの作家ギュンター・グラスのエピソードを紹介。「日本は敗戦の意味と向き合い、反芻していくという取り組みがなされていない」と語った。

 その上で、ナチスドイツのナンバー2だったゲーリングが処刑前に語った「人々を戦争に引きずりこむことはたやすい。指導者が『われわれは攻撃されかかっている』と言いさえすればよい。平和主義者には『愛国心のかけらもない』と非難さえすればよい」という言葉を紹介。「これはどこの国でも当てはまる」として、政府のアジテーションに惑わされない人間をつくり、真の平和構築を進めるためには、「現実を直視、体感して思想・感性の足場を築く」現場主義の徹底こそが最も大切なことだと力説した。

 また、集会では講演に先立ち、小林教授の研究室で学ぶ生駒ひかりさん(道東海大四年)が、今年二、三月にアウシュビッツなどナチスの絶滅収容所で行ったフィールドワークを報告した。オーストリアの一警官が「優秀な」絶滅収容所長に変身≠オていく経過を調査した生駒さんは、「彼は反ナチスのレッテルを恐れて命令に従ったが、収容所のシステムが殺人への精神的負担を軽減させるよう階層化、分業化されていたことで、彼は自分を正当化していくことができたのではないか。このように平凡な人間を体制に取り込んでいったことが、大量虐殺を可能にした背景にあると感じた」と感想を語った。

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