2007年9月9日

「市民からの発信」熱く議論
札幌で「市民メディアサミット」

今野さん講演「マスメディアをチェックする役割」強調

 「地域が変わる・メディアを変える」をテーマに「市民メディアサミット07」が九月七−九日、札幌市西区の市生涯学習センター「ちえりあ」を主会場に開かれた。インターネットニュースやCATV、コミュニティFM、地域情報誌などに携わる道内外の約二百人が一堂に会し、マスメディアと違った情報発信のあり方を熱く語り合った。

 実質的な開会式となった八日には、演出家・脚本家でテレビマンユニオン副社長の今野勉さん(夕張出身)が「市民とメディア〜ゲリラ・テレビジョンから35年」と題した基調講演を行った。



 今野さんは一九七二年、誕生間もないポータブルビデオを駆使し、マスメディアに対抗する「ゲリラ・ジャーナリズム」活動が広がりつつあった米国を訪れたエピソードを紹介。TBSのテレビマンとしてテレビの可能性を追求していた時期に、米国ではすでに「広域テレビは敵だ」という放送ジャーナリズムが芽生えていたことに対して受けた衝撃を、インターネットメディアが大きな存在になりつつある現状と照らし合わせながら語った。

 一方で、マスメディアの取り組みが、身近な問題に焦点を当ててきた取り組みとして、NHK函館放送局の番組を例に取り上げた。番組では、台風で倒れた多くの木が道南の大沼周辺に放置されていたことに疑問を呈し、大分県で起きた同様の問題が行政と住民との連携でスムーズに処理されたことを紹介。大沼でも処理に向けた動きが加速したといい、「広域テレビ放送も地域ときっちり向き合っていかなければならない」と語った。

 これを踏まえて今野さんは、インターネットを駆使した現代の「ゲリラ・ジャーナリズム」である市民メディアに対して「マスメディアに『面従腹背』でいい。そういうしたたかな生き方で、大マスコミのおごりやダメな部分をチェックして欲しい」と期待感を示した。

 引き続き、コミュニティFM、デジタルアーカイブ、災害時の情報発信、洞爺湖サミットにおける市民メディアの役割などテーマ別に約二十の分科会が開かれた。私は、デジタル時代における活字メディア(紙媒体)の役割を考える分科会に出席した。

 この分科会では、札幌、函館、釧路、仙台で情報誌を発行している四人が、自らの媒体について紹介。インターネットなどと比べた紙媒体の優位性について語り合った。出席者からは「ボランティア情報などを求める人にはネットを使えない世代も多く、紙媒体に安心感が求められている」「紙媒体は全体像が一目で分かるが、ネットはゴールが見えない媒体だ」との声が上がった。

 また、新聞などのマスメディアとのすみわけとして「刻々と起きていることを追いかけるのではなく、一定の実績を挙げたものを詳しく載せることができる」「行政と反対のことをやっていても、自分たちの価値観で載せることができる」と、市民メディア独特の情報発信を追求していくことの重要性も提起された。

 最終日には、「市民の発信をどう保障するか」と題したパネル討論が開かれ、通信と放送との融合を進めようと政府が検討している情報通信法について「放送と通信の垣根を取っ払い、巨大資本によるメディア支配を可能にするもの。インターネットでの情報発信まで規制することにつながりかねない」と危惧する声がパネリストから提示された。



 また、市民メディアが情報発信の手段として成長するために、ケーブルテレビで取り入れられている「パブリック・アクセス」(市民による制作番組の放映)の必要性が提起されたほか、出席者からは「メディアリテラシーを高めるためのメディア教育を拡大していくべきだ」「NHK受信料の一部をメディア教育や市民が自由に使える『メディアセンター』設置に充てるべきだ」などの意見が相次いで上がった。

(事務局長 安藤 健)

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