2008年2月9日

ジャーナリズム再生へ横の連携を
ジャーナリスト塾で柴田鉄治さん講演

NHK問題の「敗北」、今こそ記録を

 JCJ北海道支部は、元朝日新聞記者でJCJ代表委員の柴田さんを招いて、第四回JCJ北海道ジャーナリスト塾「新聞よ、しっかりせよ〜報道の二極分化と権力、その背景〜」を二月九日、札幌市北区の北海道クリスチャンセンターで開いた。柴田さんは、NHKの番組改ざん問題に対する朝日新聞とNHKの姿勢やNHK記者らによるインサイダー取引問題などを例に挙げて「組織ジャーナリズムは劣化している」と指摘。自衛隊海外派遣に反対するビラをまいた市民が逮捕された事件について「個人よりも国家を優位に動きたいという動きが強まっている」と危機感をあらわにした上で、「ジャーナリズムが政府をチェックしないと戦前の二の舞になってしまう」と述べ、記者たちの横の連携≠フ必要性を強調した。



 会員をはじめ、現場の記者や市民、学生ら合わせて三十四人が出席した。柴田さんは、NHK番組改ざん問題について、内部告発があったNHK側が外部の第三者に諮ることなく「問題なし」との結論を出した一方で、朝日が取材のツメが甘かった部分だけを強調して謝罪したことについて、「謝らなくていい朝日が謝り、謝らなければならないNHKが謝らないというおかしい状況になった」と批判。「組織ジャーナリズムから今、崩壊が始まっているのではないか」と警告した。

 また、柴田さんは、読売新聞が世論調査結果を報じた記事の問題点を指弾した。読売は、イラク戦争開戦をめぐる世論調査で、「反対」が過半数を占めた結果を伝える記事で、「反対」を一切見出しにとらないで事実上隠ぺい≠オたり、米政府の支持した日本政府の姿勢を「やむを得ない」とした人が64%を占めた結果を勝手に「賛成」と読み替え、「国民の七割が容認」と報じたことを、「やってはいけない世論操作だ」と批判した。

 組織ジャーナリズムを覆う危機感について、ジャーナリズムが権力と戦おうとするとき、権力側と妥協しようという勢力とのせめぎ合いが「微妙な時期に来ている」と厳しさを強調した。一方で、柴田さんは「新聞が生き残る方向は一にも二にも特ダネだ」と強調。「権力に対峙するニュースでは共同戦線を張ることも重要だ。組織ジャーナリズムの中にいる人に立ち上がってもらいたい」と奮起を促した。

 出席者との質疑応答では、朝日新聞の論調に対するインターネット上でのバッシングに関する質問が上がり、柴田さんは「NHK問題での攻撃に朝日はたじろいだのではないか」と語り、その背景として「世の中が想像以上に右へと動いたことが、社会の右傾化と朝日の孤立化を招いた」と分析。一方で、NHK問題の総括を「ジャーナリズムの敗北として記録していく責任がある」と強調。「内部告発者が新聞社を頼りにできないという空気になればジャーナリズムは死んでしまう」と述べ、読者・視聴者からの信用を得るための戦いを続けていくことの必要性を説いた。

(事務局長 安藤 健)

柴田さんの講演要旨へ

2008年活動報告へ

トップページへ