2008年6月7日

サミットを利用し、あおっている
清水雅彦教授を招きJCJ北海道6月例会

「監視」の背景伝える重要性強調

 JCJ北海道支部は、清水雅彦・札幌学院大教授を講師に招き、六月例会「G8洞爺湖サミットを前に考える『サミットで固定化、強化される監視社会』」を六月七日、札幌市北区の北海道クリスチャンセンターで開いた。北海道洞爺湖サミットを一カ月後に控え、テロ対策を名目にした各種訓練が実施されたり、防犯パトロールなどに市民をネットワーク化したりしている警察の動きについて、清水教授は「サミットという機会を利用して、テロの脅威を大げさにとらえ、あおりながら取り組みを進めている」と指摘。一方で、日本に対するテロの脅威が語られる背景を「米国の対テロ戦争に協力しているからだ」と断じ、「日本国憲法前文でうたっている積極的平和主義を実践して、テロの温床となっている世界の貧困問題を解決することこそが日本の果たすべき役割だ」と強調した。



 会員のほか、メディア関係者や市民計二十五人が出席。サミットをめぐる地域の動きに対する関心の高さをうかがわせた。

 清水教授は講演の冒頭、着々と監視強化が進む社会の現状に対して「マスコミも国民も表面的なことしか見ていない」と指摘した。東京・千代田区で路上禁煙を禁止する内容を盛り込んだ条例を取り上げた報道を例に挙げ、「全国で制定が進められている生活安全条例の千代田区版で、路上禁煙はその内容の一つに過ぎない。マスコミは報道で誤った条例観を市民に伝えた」と批判。「地域の防犯協会の要望で制定されたこの条例は、警察官が区に出向してつくられたものだ。警察主導で条例が制定されているという全体情勢を伝えないことが問題だ」と語った。

 また、日本で九〇年代以降、刑法犯が増加し、それに対応する形で防犯パトロールの強化や生活安全条例の制定が進められている状況について、「八〇年代の米英の政策をまねた治安対策で、新自由主義政策と連動したものだ」と説明。「新自由主義経済の中で失業率が上昇し、ホームレスが増えるなど社会の不安が高まった。警察はそれを見越して、地域や家庭に入り込んで相互監視のネットワーク作りを進めているのだ」と、その背景を解き明かした。さらに、洞爺湖サミットに向けて不審者の上陸を監視しようと、北九州で情報提供を呼びかける釣り人ネットワークが作られた例などを取り上げ、「直接サミットとは関係ないのに、警察は協力者を増やそうと躍起になっている」と批判。「警察活動を市民にやらせることには問題がある。テロ抑止をいうならば新自由主義にメスを入れ、社会保障やセーフティネットを強める方向に持っていくべきではないか」と述べ、メディアが冷静に社会情勢を分析して報道していくことの重要性を力説した。

(事務局長 安藤 健)

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