2008年11月15日

世界と日本の今日的課題、5氏が熱弁
札大で「七人委員会」記念講演

 「世界平和アピール七人委員会」の創立記念講演会「洞爺湖サミット後の日本と世界」が十一月十五日、札幌大学プレアホールで開かれ、G8サミットの課題や米大統領選後の世界、食の安全や宇宙開発の課題をめぐって、五人の委員が熱弁をふるった。会場には、ほぼ満席となる四百人の市民が参加。混迷する世界の将来に対する関心の高さを示すものとなった。



 国際政治学者で元国連大学副学長の武者小路公秀さんは、現在の世界を「西欧近代の行き詰まり」として、米国中心の国家だけを頼りにした「国家の安全保障には限界が見えてきた」と述べた。その上で、国連が唱える「人間の安全保障」に関連して、「軍隊を出すことをやめて、平和に生きることができる世の中をつくるということを、日本はオバマ新政権に説明することができるのではないか」と提言した。

 自身も長崎で被爆を体験した土山秀夫・元長崎大学長は、日本と南北朝鮮を中心にした北東アジアを「非核兵器地帯」とする構想を提案。「この3カ国に中国、ロシア、米国が核攻撃をしないという協定を交わすことが日本の平和外交の歩むべき道だ」とした。また、この構想と日米安保体制との関係についても、「安保条約には『核』の文言は一言もない。日米新ガイドラインに一カ所だけ核兵器に触れた部分があるので、そこだけ削れば問題は生じない」と明言した。

 物理学者の小沼通二・慶応大名誉教授は、米国が冷戦後の今なお五百発の核兵器を国外である欧州に保有している現実について「これは過去の問題ではない」と強調。米国がブッシュ政権下で、核兵器保有を準備しようとする国に対してまで核攻撃するという独善的な姿勢を取ってきた裏で、インドとは原子力協定を結んだことを「六番目の核兵器保有国が公然とできたということになるのではないか」と批判。選挙戦を通じて「核兵器のない世界を求める」と主張してきたオバマ氏の「変革」に対して期待感を示した。

 児童文学者で「世界がもし100人の村だったら」の作者でもある池田香代子さんは、日本中で食品偽装をめぐる騒動が繰り返されたことに「ずべてが『ネタ』のように感じられ違和感をぬぐいきれなかった」と語った。その中で、汚染米問題の報道が過熱した半面、大麦から基準値を上回る農薬が検出された事件の報道が小さかったことを「90%以上を輸入している麦が食べられなくなったらパニックになると考えたのでは、と勘繰ってしまう」と語った。また、世界の水を奪いながら輸入用の食料を各国に作らせている日本の問題点を指摘。「食の場面から公正さを考えるためにも、地産地消を進めることが大切だ」と力説した。

 宇宙天文学者の池内了・総合研究大学院大学教授は、宇宙空間での民生利用の人工衛星と軍事利用のミサイルを「科学には役に立つ部分と嫌な部分との二面性がある」と説明。日本が、宇宙開発は「非軍事」であるべきだと一九六九年に定めた宇宙開発三原則を「非常にすばらしい決断であった」と述べた。しかし今年、わずか四時間の国会審議で、自民、公明、民主三党が賛成して宇宙基本法が成立したことを、「目的が『国家の安全保障に資する』こととなっており、非軍事としてきた日本の宇宙開発の原則を『非侵略』に置き換えたものだ」と批判。「宇宙は科学研究の場として使われるべきで、戦争の場にしてはならない」と強調した。

(事務局長 安藤 健)

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