2009年2月7日

格差社会の実相は「貧困問題」だ
「ぼくらに、希望を」取材班、町田さんが講演

職業訓練など公的支援の必要性強調

 JCJ北海道支部は、全国で広がった「雇用崩壊」を追って北海道新聞が昨年一年間連載した「ぼくらに、希望を」取材班メンバーの町田誠さん(同紙生活部記者)を講師に招き、二月例会「北海道から見える格差社会の実相」を二月七日、札幌市北区の北海道クリスチャンセンターで開いた。道内の多くの非正規雇用労働者を取材した町田さんは「格差問題というよりも貧困問題だ」と労働者を取り巻く実態を指摘。連載に登場した派遣社員らの「その後」などについて報告した。町田さんは、自ら経験した日雇い派遣の現場で「やっぱりモノ扱いされた」という経験談を紹介。選んだ仕事に失敗しても再チャレンジできるよう「職業訓練などの場が必要」と訴えるとともに、正社員並みの仕事をする非正規雇用労働者に対しても「同一価値同一賃金が基本だ」と強調した。

 会員と一般市民合わせて二十人が出席。町田さんはまず、一年前に取材した「第一部」に登場した若者たちを紹介した。保育士の女性は、いつも子供をせかす環境が嫌で最初に勤めた無認可保育所を退職したにもかかわらず、再就職した別の無認可保育所も、園児が減少すれば給食のおかわりまで禁止するというワンマン経営の職場で「二回続けて自分の子供を預けたくないところに勤めてしまった」と語ったエピソードを紹介。彼女の「その後」について、あこがれだった保育士の仕事をあきらめた、と紹介。彼女たちを苦しめた背景には「公立保育所はコストがかかりすぎると無軌道に保育所を民営化した結果だ」と断じ、保育分野を市場原理に任せた規制緩和の誤りを指摘した。

 町田さんは、自ら派遣会社に登録し、夏の野外コンサート会場で「日雇い派遣」を経験。その体験を記事にしたが、現場では「本業の給料だけでは安すぎる」という会社員や自営業者が多かったと道内特有の日雇い派遣の特徴を明かした。また、「皆さんの責任は重大です」と言いながらトイレ管理などを全くの素人に任せたかと思えば、勤務を終える際には現場責任者が「皆さんは使いやすかったです」と労働者たちを「モノ扱い」したことを紹介。「日雇い派遣は体さえあれば誰でもできる交換可能な仕事だと感じた」と語った。

 また、年末年始に東京・日比谷公園に開設された「年越し派遣村」をめぐるメディアの報道について「貧困は見えないものだが、『派遣村』報道では貧困がここにあるのだということを知らせてくれた」と、その「功」を強調。一方で、年明け以降、大企業の業績悪化と人員削減がトップニュースを占めている現状について「赤字なら人減らしも当然という揺り戻しが起きるではないか」と懸念を示した。さらに、求人票に載る仕事はあるものの、職に就けない人が増えているという「仕事のミスマッチ」について、「取材したホームレスには『自分が経験した仕事をしたい』という思いが強いようだ。だから、(職業訓練などの)公的支援というワンクッションが必要だ」と力説した。

(事務局長 安藤 健)

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