2009年8月1日

労働者は自ら権利守る闘いを
報道人は社会正義に体張って

札幌地域労組 鈴木書記長、8月例会で講演

 JCJ北海道支部は、非正規職員や介護福祉労働者の権利擁護など、道内の労働運動を牽引してきた札幌地域労組の鈴木一書記長を講師に招き、八月例会「労働運動の現場とマスコミの功罪」を八月一日、札幌市北区の北海道クリスチャンセンターで開いた。二百社近い中小企業で労働組合の結成に携わった鈴木書記長は「連合結成以降の二十年、労働組合は会社と闘わない『御用組合』化が進み、労働者を十分に守ってこなかった」と指摘。労働者の権利を守るためには、労働者自ら闘う姿勢が重要だと強調した。マスコミについては、「ジャーナリストは、その動き次第で世の中が良くも悪くもなる職業の一つ。場合によっては、体を張ってでも社会正義を守るべきではないか」と問題提起した。

 会員と一般市民合わせて約二十人が出席した。鈴木書記長は、札幌地域労組に寄せられた労働相談の事例を挙げながら、「すでに労働組合がある職場からの相談が来ている。経営側の人件費削減にブレーキをかけるはずの労働組合が機能していない」と批判。違法な解雇や労働者の権利のほごが横行している現状を報告した。

 続いて、労働組合として特養ホーム職員による入所者虐待の内部告発を支援したり、施設の管理職員も味方に引き込んで横暴な理事長を退陣させたりするなど、自らがかかわった介護福祉現場での労働運動について詳しく説明。「介護福祉施設の職員の給料は、かつては公務員に準じると定められていたのに、介護保険の導入後は賃金の物差しが最低賃金になってしまった。さらに、介護保険法が『経営者は儲けをあげても良い』という方向で改正されたため非正規職員が増え、介護の質の低下などの問題を引き起こしている。労働運動を通し、この構造を可視化できた」と振り返った。

 鈴木書記長は、これらの労働運動の成果を報じたメディアについても言及した。当初は連日のように紙幅を割いて掲載していた地元紙や全国紙の記事の量が、だんだんと減っていったとした上で「行政から改善命令が出たときや従業員のストライキなど、節目の記事についても扱いが小さかったり、ボツになったりした。報道する側に、福祉施設側からの告訴を恐れるような雰囲気があったのではないか」と述べた。

 質疑応答では、「規制が壊されたいま、あらゆる職場から『安全地帯』がなくなり、ストレス社会になった。自殺者が高止まりしているのは当然とも思う。労働者自身があきらめずに権利を主張しなければ、権利の獲得はありえない。(そういう意味で)日本には民主主義が根付いていない」と熱弁を振るった。さらに「賃金が高い北欧では物価も高い。とにかく安ければいいという考えでは、(労働者でもある消費者にとって)自らの首を絞めている」とも戒めた。
(事務局次長 町田 誠)

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